シリコーンについて
知ろう。シリコーンは、日常のあらゆる製品に
もっと知って、もっと身近に。
シリコーンとは?
シリコーンは地球上にたくさんあるケイ石を原料にして、化学反応させて作ります。製品の形は、オイル状、ゴム状、ペースト状、固体状、粉末状等とさまざまです。
よく似た名前のシリコンとシリコーン、
2つの違いって何?
シリコンはケイ素のことで、地球上では酸素に次いで豊富に存在し、主に岩石や土壌に見られます。また、半導体やケイ素樹脂の材料としても広く利用されています。半導体のシリコンは高純度のケイ素を精錬して得られた暗灰色の金属です。
一方、シリコーンはケイ素を含む有機化合物で、オイルやゴム、樹脂の形態で潤滑油や接着剤、シーラント、コーティング材など幅広い用途に用いられます。シリコーンの安全性は長年にわたる詳細な研究によって確認されています。
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ケイ石(SiO2)ケイ素(Si)は自然界には「ケイ石」(SiO2)として存在します。
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金属ケイ素(Si) シリコン(Silicon)ケイ石を還元すると「金属ケイ素」(Si)になります。
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シラン シロキサン金属ケイ素からシリコーンを作る構成単位となる化合物(シラン・シロキサン)を作ります。
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シリコーン(Silicone)シランやシロキサンを組み合わせて化学反応させるとシリコーンになります。
シリコーンの用途
サステナビリティ
シリコーンはさまざまな
活用されています。
キッチン用品で便利で楽しく。シリコーンが
調理の可能性を 広げています。シリコーンは熱に強く、伸縮性にも優れているため、電子レンジやオーブンを使用した多様な調理器具が成形可能です。透明なので色も付けやすく、おしゃれでかわいい製品が作れます。
便利で楽しく。シリコーンが
調理の可能性を 広げています。シリコーンは熱に強く、伸縮性にも優れているため、電子レンジやオーブンを使用した多様な調理器具が成形可能です。透明なので色も付けやすく、おしゃれでかわいい製品が作れます。
シリコーンは多くの化粧品に広く採用されています。
シリコーンは、フィット感や持ちの良さ、汗や水に強い、仕上がりがなめらか、伸びが良くつけやすい、など化粧品原料になくてはならない条件を備えています。シリコーンは化粧品原料として多くの優れた特性を持ち、安全性から使用感まで幅広い面で化粧品の品質向上に寄与しています。
シリコーンが化粧品に
使われていなかったら?
見えないところで大活躍!
シリコーンは電子機器の高性能化と
革新的な技術の実現に欠かせない
素材です。
スマートフォン、コンピュータ、ウェアラブル・フィットネス・トラッカー、キーパッド(裏のバネ代替)など、生活のあらゆる電子機器の心臓部でシリコーンが使用されています。
コンピューターに使用されるCPUのチップはシリコーンを使った封止剤で囲まれており、チップを保護したり、発熱した熱を外部へ伝える役割を果たしています。この封止剤は一度封じられると開封できず、そのまま使用されるため、長期間にわたって利用される耐久性の高い部品で代替品は存在しません。もし代わりに金属の接着材を使用する場合、封止剤のサイズが拡大し、それに伴って熱による曲がりや離れの問題が発生する可能性があります。従って、現在の封止剤は、コンピューターの正常な動作と信頼性を維持するために必要不可欠な部品となっています。
近年、CPUの高速化や微細化が進むにつれて、発熱量の増加が課題となっており、こうした状況でシリコーンは欠かせない役割を果たしています。
CPUは高速化と微細化に伴い、以前よりも多くの熱を発生させます。このため、シリコーンが適切な熱伝導性を提供し、CPUを過熱から守っています。その結果、シリコーンの優れた熱伝導性が高発熱のCPUの効率的な動作を支え、パフォーマンスの向上と信頼性の確保を可能としています。
基盤の部品(CPU、GPU、メモリー、ストレージなど)にシリコーンも使用されています。(上記写真黒い四角の部分)シリコーンはこれらの部品の発熱によるひずみを抑え、適切な冷却を実現しています。また、大きな部品の下にはシリコーン放熱剤(グリースやゲル)が組み込まれています。これらのシリコーン製の材料は、高発熱パーツの効果的な冷却をサポートしています。特にパーツの下に使用されるシリコーン放熱剤は、熱の効率的な伝導を確保し、安定した動作を維持します。
衝撃や汚れから電子機器を守ります。
電子機器や回路基板などの表面に薄い保護コーティングを施し、熱や衝撃、汚れ、湿気などからさまざまな電子部品(PCボード、ICチップ、コンデンサー)を保護します。これにより、電子機器の寿命を延ばし、信頼性を向上させることが可能になります。
太陽光パネルや風力発電など、
再生可能エネルギーの分野で活躍しています。
シリコーンは、太陽光パネルの封止剤としても使用されています。封止剤は太陽光パネルの内部部品や電気配線を保護するために使用され、外部の湿気や塵埃からこれらの要素を守ります。また、風力発電では風車のタービンの耐久性と強度を高め、より大きなエネルギー生産能力を持つ大型風力ブレードの開発を促進しています。また、防水・耐候シールは宇宙用途などでも活用されています。
また、シリコーンはクリーンエネルギーを支えるカーボンファイバーのコーティングとしても使用されており(サイジング剤)、カーボンファイバーの接着性や耐久性を向上させることで、風力タービンや太陽光パネルなどの製品の性能も向上させています。クリーンエネルギーの効率向上や持続可能なエネルギー供給に寄与し、環境への負荷を軽減する一助となっています。
自動車の軽量化や燃費向上、
汚染物質の排出削減にも貢献しています。
耐熱性や熱伝導性が高いシリコーンを使うことにより自動車部品の小型化ができ、また耐久性が高いことから、ガラス部品をシリコーンで表面処理を行ったプラスチックへ置き換えることで、自動車の軽量化が可能となります。
シリコーンは高温下でも安定性を保つため、エンジン部品にも使用され、燃焼効率の向上と有害排出物の削減に貢献しています。また、エコタイヤにも使用され、燃費低減による石油資源の消費やCO2排出量の削減に貢献しています。このように、SDGs(持続可能な開発目標)の一環として、シリコーンは燃費向上とCO2排出量の削減に寄与しています。
内燃自動車とEVで使われる
シリコーンの比較
内燃自動車
エンジンコンポーネント: 内燃エンジン車では、シリコーンがエンジンや排気システムのシールやガスケットとして使用されることがあります。高温と振動に耐える必要があります。
冷却系: シリコーン製のホースやシールは冷却液のシステムで使用され、耐久性と耐腐食性が求められます。
電気自動車(EV)
バッテリーシステム: EVでは高性能な電動バッテリーが使用され、シリコーンがバッテリーセルのシールや保護材として使用されることがあります。
パワーエレクトロニクス: EVの制御ユニットやインバーターなどの電子部品にもシリコーンが使用され、電子部品の絶縁や保護が行われます。
両方の自動車タイプで共通している点もありますが、使用方法や要求される特性は異なります。内燃自動車では高温と化学的状況に耐える耐久性が求められますが、EVでは高電圧や電子部品の保護が重要です。シリコーンの選定はそれぞれの用途に合わせて行われ、車両の性能と信頼性に影響を与えます。
シリコーンは生体適合性が高く、
アレルギー反応を起こしにくい 素材として 医療分野でも広く 活用されています。
コンタクトレンズの原料としても
広く使用されています。シリコーンハイドロゲル素材は透過性が高く、アクリル樹脂と組み合わせて長時間快適な装用が可能です。シリコーンを活用することで、割れやすく危険なガラスやアクリルの代わりに、安全に視界を広げるコンタクトレンズが実現されました。
建材の劣化抑制や
長寿命化を実現しています。1968年に竣工した日本初の超高層ビル、霞が関ビルディングでは、シリコーンが窓枠のシールに使用されています。このシリコーンの利用により、ビルの窓枠のメンテナンスが50年以上も必要ないという優れた効果が実現されました。(窓枠のシールにシリコーンが使われる前は、定期的なシールの打ち直しが必要であったため、メンテナンスフリーな超高層ビルは存在しなかった。)シリコーンは建築物の耐久性とメンテナンスの効率性を向上させ、世界中の建築物の持続可能性を高めています。
シリコーンが建物を強く、
美しくする。シリコーンの柔軟で形状を変えやすい特性が建築デザインの自由度を向上させています。複雑な形状やカーブを持つ部分にも適用でき、建物の外観をより独創的にかつ美しくすることができます。全面ガラス張りのビルはシリコーンによるシーリングで実現され、古い高層ビルの解体時にもシリコーン素材が長持ちすることが確認されました。
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江戸切子をイメージした 大型商業施設「東急プラザ銀座」の美しい外観をシリコーン構造接着 (SSG)構法で実現。
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「泉ガーデンタワー」ではシリコーン構造接着(SSG)構法を用いてガラスカーテンウォールの設置が成功しました。
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世界最高の高さを誇る「ブルジュ・ハリファ」はシリコーン構造接着(SSG)構法により、その高さを実現しました。
建物のエネルギー効率
向上に貢献しています。複層ガラスとシリコーンゴムを利用することで建物の熱損失を削減しています(ブチルゴムの周りにシール材としてシリコーンゴムを使用)。これによって断熱性能の向上が達成され、エネルギー効率が向上します。